• 2020-10-09

MIMIX 9の技術のすごさ|エンジニアに話を聞きました。

MIMIX 9の技術について、当社のマーケティング担当者がMIMIX 9のエンジニアに話を聞きました。その会話をご紹介します。

マーケティング担当者

MIMIXエンジニア

マーケ 本日はMIMIX 9の技術トピックについて、より詳しくお伺いしたいと考えています。MIMIX 9紹介資料に「旧バージョンより最高で10倍高速に適用」とあります。これを見た時に、「10倍!」という印象を持ちました。どのようにしてそのような高速化が可能になるか、具体的に教えてください。

「旧バージョンより最高で10倍高速に適用」~MIMIXご紹介資料より


技術者 MIMIXがHAを実現する仕組みは、本番機での更新情報(ジャーナル項目)をバックアップ機に送信し、それをバックアップ機でMIMIXジョブが受け取り(読み込み)、連動してMIMIX適用ジョブが「本番機で基幹データが更新されたように、バックアップ機上の当該基幹データを更新する」という流れです。そのバックアップ機でのデータ更新の仕組みを改良して、今までよりも効率的に行えるようにしました。その結果、更新の速度が10倍になりました。

マーケ どのような改良ですか?

技術者 バージョン8までは、バックアップ機上でデータ更新するMIMIXのジョブを最大6ジョブまで増やすことができます。同期対象ファイル群を最大で6つのジョブに割り振り、マルチジョブで並行更新できる仕様です。1ジョブずつの更新を6ジョブ同時並行で更新すれば、6倍の高速化と言うことができます。今回のバージョン9では、この更新処理にマルチスレッドの仕組みが追加されました。

マーケ ジョブの並行更新とマルチスレッドによる更新とでは、どのように違いますか。

技術者 MIMIXでは、同期対象ファイル群をグルーピング(データグループ)して、そのグループごとに同期設定を定義します。そのグループに含まれるファイルについて、本番機で発生したすべてジャーナル項目をバックアップ機で受け取り、それらをMIMIX適用ジョブに割り振ることで、最大6つまで並行で更新処理ができました。

マーケ バージョン8までのジョブ並行処理のイメージですね。

技術者 はい。そしてバージョン9では新しい「スレッド」という考えで、1つのジョブを最大100個に分割して、その100個を同時に処理し更新できるようにしました。

マーケ 「1つのジョブで最大100個のスレッドに分割する」ということですか。

技術者 そうです。スレッド分割の区切りがライセンス毎ありますが、最大100個はMIMIX Enterpriseで、MIMIX Professionalは最大50個、MIMIX DRでは最大25個です。1つのジョブだけの処理を見れば、MIMIX 9はMIMIX 8よりも最大で100倍速く処理できると言えます。

マーケ なるほど。つまり、MIMIX 8で6ジョブを並行処理する時間と、MIMIX 9のマルチスレッド処理による1ジョブの処理時間を比較すれば、単純計算で約16倍(6/100)高速処理できるということですね。

技術者 はい。実測では、10倍速いという結果です。

マルチスレッド適用フロー・イメージ-1


マルチスレッド適用フロー・イメージ-2


マルチスレッド適用フロー・イメージ-3


マーケ ありがとうございます、納得しました。しかし、どうしてマルチスレッドのような技術が必要になったのでしょうか。

技術者 近年では、出力されるジャーナルのサイズが1日で100GBを超えるようなお客様もあります。サイズの少ないお客様で1~2GB、平均すると10~20GBといったところでしょうか。今はネットワークが広帯域化してGbpsが一般的になり、金額コストも以前と比べて安くなっていますから、本番機からバックアップ機へより大容量のジャーナルが送信されるようになっています。すると、今度はバックアップ機側での更新処理の高速化が必要とされます。

マーケ そういった背景なのですね。たしかにバックアップ機での更新処理が完了しないことにはデータ同期として不完全ですね。

技術者 MIMIX 8までのジョブ並行設定もこれまで同様に利用できますし、新しいスレッド機能もご利用いただけます。これがMIMIX 9での更新処理の機能拡張です。

マーケ 「より速く、より効率的なレプリケーション」(プレゼン資料)を実現したのですね。

続いて、MIMIX 9の2つ目の特徴としている「再設計され、モバイル環境に適したグラフィカル・ダッシュボード」をお願いします。

「グラフィカル・ダッシュボード」~MIMIXご紹介資料より


技術者 MIMIX 9では管理パネルがGUI化され、Webブラウザで見ることができるようになりました。すっきりしたレイアウトのダッシュボードで色分けもされているので、MIMIX環境全体の状況がひと目で直感的にわかります。

マーケ 5250の管理画面との違いは何ですか?

技術者 管理画面で表示される項目は、5250とGUIで違いはありません。このため5250で管理画面をお使いのお客様は、違和感なくGUI画面に移行されるようです。直感的に、という観点では、画面レイアウトや色区別の点でGUIは便利です。

マーケ GUIならではの長所ですね。

技術者 たとえば、ダッシュボードを開くと、本番機とバックアップ機のインスタンスの状況がパッと目に飛び込んできます。アイコンの色が緑なら平常稼働中、黄色なら要確認、赤は要対応を意味します。そして黄色や赤のアイコンをクリックしてドリルダウンしていくと、黄色や赤の部分に行き当たるので、その個所の「回復」ボタンを押せばリカバリーが行えます。回復の経過も「監査」機能が働いて、1つの監査が終了すると次をチェックする様子が画面に表示され、手に取るようにわかります。

インスタンスの状況が一目でわかるグラフィカル・ダッシュボード


回復の過程も✔マークで確認できる


マーケ 流れに沿った適切な操作ができますね。

技術者 あわせて、同期の停止・開始をボタン1つで操作する機能は以前のバージョンでもありましたが、バージョン9はその反応のスピードが驚くほど速くなりました。同期の停止・開始は、とっさで行うケースもありますから、目立たないかもしれませんが、現場サイドにとってはありがたい、大きな改善です。

マーケ UIのレスポンスも向上したということですか。

技術者 特に、MIMIXを複数台稼働させておられるお客様では、GUIのダッシュボードは必須ではないかと思います。複数台のMIMIXがある時、それぞれのインスタンスを確認するには、それぞれの5250管理画面を1つずつ開く必要がありますが、GUIのダッシュボードなら1台ですべてのインスタンスの状況が把握できます。

複数台のインスタンスの状況もビジュアルにわかる


マーケ ほんとうですね。3つ目の「IBM iオブジェクトのサポート拡張」は、どのような内容ですか。

「IBM iオブジェクトのサポート拡張」~MIMIXご紹介資料より


技術者 IBM i 7.3で追加されたDb2テンポラル・テーブルへの対応です。言い換えると、Db2テンポラル・テーブルでサポートされるようになったオブジェクト(Db2 for iにテンポラルに追加されるデータ)をMIMIXで同期対象にできるようになったということです。IBM i(OS)は進化するOSなので、OSに新しく追加された機能には対応できないものがどうしても出てきます。IBM i(OS)の最新機能に対応した、というメッセージですね。

マーケ 予定通りの拡張ですね。

技術者 ただ、MIMIXはIBM iの拡張への対応を精力的に続けてきている、という言い方はできると思いますね。

マーケ 何か理由があるのですか。

技術者 MIMIXをお使いのお客様が最新のIBM iへ移行し、新しいOS機能を使うこともあるので、MIMIXでの対応はすみやかに行う必要があるということですが、そうした理由とは別に、MIMIXがIBM iの開発拠点であるロチェスター(米ミネソタ州)の近くで誕生し、そのDNAを今も引き継いでいるということもあるかと思います。

マーケ そう言えば、MIMIXを最初に開発したのはLakeview Technology社でしたね。ロチェスターからそれほど離れていない場所にありました。そのほか、MIMIXのエンジニアから見て、これはよい、というのはありますか。

技術者 スプール・ファイルの同期機能強化はとても大きいと思っています。スプール・ファイルの同期は以前から対応していましたが、スプール・ファイルの中身は同じだけれどもスプール・ファイルの属性(ジョブ名、ジョブ番号など)が異なるなど、やや使いにくいところがありました。バージョン9では、スプール・ファイルを一意に識別するために必要なこれらの情報も同期されるようになり、一意のスプール・ファイルを指定するためのパラメーターもMIMIX定義に追加されました。同期する場合は、*SPLFでオブジェクトタイプを指定し、スプール・ファイル名や番号、ユーザー名などを選択することで、ジョブ名を指定した除外や、特定のスプール・ファイルだけを同期することができます。スプール・ファイルのステータスも同期できるので、現場のエンジニアにとっては有益な機能拡張です。

マーケ まだまだいろいろありそうですね。

技術者 MIMIX 9の新機能や機能拡張はこのほかにもあります。

マーケ また、どこかでお話を聞かせてください。

技術者 はい。是非よろしくお願いします。

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