• 2020-08-31

米IBMがOpenShiftに最適化した次世代プロセッサ「POWER10」を公開

米IBMは8月17日(現地時間)、次世代のIBM POWERプロセッサである「IBM POWER10」を発表しました。8月16~18日にオンラインで開催されたプロセッサの国際会議「Hot Chips 32」にてリリースされました。

処理能力や効率性の向上に重点を置き、POWER9と比較して一層のパフォーマンス向上を実現しています。ハイブリッドクラウドや高度なAI活用、セキュリティ対策を前提に、Red Hatのコンテナ管理用ソフトウェアであるOpenShiftに最適化されたプロセッサとして完成しています。

POWER10は、7nm(ナノメートル)フォームファクターを採用したIBM初の商用プロセッサとなります。韓国のサムソン電子との10年以上にわたる共同研究開発の末に誕生しました。サムスン電子がPOWER10を製造し、POWER10プロセッサ搭載システムは2021年下半期に提供を開始する予定です。

 エネルギー効率とキャパシティを向上

POWER10はプロセッサ・ソケット当たりのエネルギー効率を最大3倍に向上させました。これによりPOWER10搭載システムは、POWER9搭載システムと比較して最大で3倍のユーザー、ワークロード、およびハイブリッドクラウド・ワークロードのOpenShiftコンテナ密度をサポートできるようになります。

 AESによりセキュリティ機能を強化

AES暗号化エンジンがPOWER10に追加されました。これによりエンドツーエンドのセキュリティと高速暗号化の処理能力を実現するメモリ暗号化を提供します。現在、最も使われている暗号化規格を使用したIBM社内テストの測定結果によると、POWER10はPOWER9よりも40%速くデータを暗号化することが可能です。

 複数システムのメモリを互いに共有

POWER10では「Memory Inception」と呼ばれる、他のシステムのメモリを共有できる新しいテクノジーを搭載しています。一度有効化されると、クラスタ内にある任意のPOWER10プロセッサ搭載システムが相互のメモリにアクセスして共有できるように設計されており、マルチ・ペタバイト・サイズのメモリクラスタを構築できます。

 AIの推論処理性能を大幅に向上

POWER10プロセッサは専用のハードウェアを追加しなくても、コア内部のAI推論能力を拡張する設計が行われています。

プロセッサに組み込まれた行列計算アクセラレータによって、POWER10は企業のAI推論ワークロードの性能を、POWER9と比較して、ソケット当たり32ビット単精度浮動小数点演算で10倍、16ビット半精度2進浮動小数点演算で15倍、8ビット整数演算で20倍もの高速な処理を実現できると期待されています。

POWER9とPOWER10の比較

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